【イベントレポート】もやもやキャリアから自分を解放する『脱藩』という選択肢。
4月23日に「もやもやキャリアから自分を解放する『脱藩』という選択肢。」対談イベントをハイブリッド開催しました。
「今の会社でこのまま続けていいのだろうか?」「何かやってみたいけれどきっかけがない」とキャリアにもやもやしている50代を中心とした参加者の皆さんと一緒に、これからの働き方や自分の生かし方について、3人の登壇者と考えるひと時となりました。
登壇者ご紹介
伊能美和子氏|株式会社Yokogushist 代表取締役(プロフィールはこちら)
安川幸男氏|合同会社イキナセカイ代表/神戸大学客員教授(プロフィールはこちら)
大桃綾子|Dialogue for Everyone株式会社 代表取締役
50代「キャリアの暗黒期」を縮める『脱藩』の考え方
はじめに、当社大桃から、50代から60代までの「キャリア暗黒期」のデータと共に、暗黒期を縮めるにはどうすべきか。『脱藩』という概念でひもときたい」と話題提起と共に、『脱藩』の考え方を紹介しました。
『脱藩』とは、江戸時代、武士が自分の藩を離脱し、活躍の場を「日本」に広げた行為。
これを現代に置き換えて、「私たち自身が企業に仕えるという意識から離れ、自分のキャリアを自分自身に取り戻し、会社との関係性を見直し、自分を縛ってきたくびきから解き放たれること」との解説に、参加者から共感が寄せられました。
続いて、登壇者の伊能さん、安川さんから、それぞれの『脱藩』した理由や感想などリアルな体験談をご紹介いただき、具体的な脱藩話に会場から思わず質問が寄せられるほど。
伊能さんは、新卒からNTTグループに勤務、多くの新規事業立ち上げに携わり、(株)ドコモgacco代表取締役を務められました。
役職定年を経て2022年、縦割りの組織を越えて人と人を結び、イノベーションを支援する(株)Yokogushistを創業。とはいえ、実は「会社を作ろう作ろう、と思いながら腰が上がらなかった」とのこと。一歩踏み出したのは、『セカンドキャリアの聖地』とも言われるスナックひきだしママから「まだ会社をつくっていないの?」と背中を蹴られるような愛のある励ましがあったといい、「もやもやの自分を後押しするような他者の存在は重要」と話しました。
転職を重ね、NTTグループに15年勤務した安川さんは、46歳の時に満員の通勤電車に嫌気がさし、東京から鳥取県への移住を決めました。
首都から人口最小県の鳥取への『脱藩』、そして鳥取県庁、地方銀行での勤務から業務委託の手ごたえを得て1人起業に至った安川さん。「生まれながらの脱藩者」とのコメントも寄せられました。
安川さんは、組織を飛び出す前の過程も重要だとして、「副業やプロボノ、大きなグループ会社であれば公募に応じて子会社に移ってみる。自分の殻を破って異なるコミュニティに身を置き、社内評価より市場評価を得ていくことが大切。組織にいながら『脱藩力』を磨くことができる」と話しました。
伊能さんは「会社を設立したことで、より世の中や会社の仕組みが『自分事』として分かるようになり、世界が広がった」、安川さんも「会社をつくれば、銀行から資金を借りて操業する醍醐味もある」と魅力を語りました。
もやもやから抜け出せない・・・『関所』はどうやって越えた?
組織を飛び出すときに壁になる『関所』は誰しも悩むところ。実はかの坂本龍馬も脱藩前には悩んだとの逸話もあるほど。
脱藩経験者のお二人から、「大企業に勤めていない友人をつくり、自分の生き方がスタンダードではないと気付くこと。自分より若い友人をつくり、将来の世の中をつくる世代からいろいろな情報を吸収し、価値を交換している。10年先の自分を助けてくれると思う」(伊能さん)、
「関所は自分自身で作っている。男性は家族のせいにしがち。自分は組織を飛び出して、かつての後輩から仕事をもらっている。立場が逆転しても案外平気なもの。今は働く時間が半分に減って、収入は2倍に増えた。サラリーマン時代は課長になれなくても、社長にはなれた」(安川さん)と、具体的なアドバイスも寄せられました。
地方には50代の人たちが培ってきた仕事のノウハウや経験を必要とするニーズがあります。大桃からは、コロナ禍以降、地方でも急速にリモートの導入が進み、首都圏にいながら地方と働くこと、会社を続けながら他の組織で関わる選択肢が増えている、とセカンドキャリア塾での大人のインターンシップ事例をご紹介しました。伊能さんも安川さんも、会社に属しながら『脱藩予備軍』として、まずは小さな仕事から試す「スモールスタート」を勧め、「関所を乗り越える準備」にも話が及びました。
最後に大桃から
「日本のGDPの7割は地方で生み出している。地方が頑張れば、日本は変わる。日本の会社で働く世代の半分は50代。50代が地方と繋がり、力を発揮することが日本を元気にすると思っていただきたい」と、参加者へのエールを送り、終了しました。
コロナ禍創業の当社としては初のハイブリッド開催となりましたが、リアル・オンラインそれぞれ多数のご質問をいただき、リアル会場は時間ぎりぎりまで名刺交換の交流が続きました。「もやもやキャリアから自分を解放する『脱藩』」セミナーは今後も第二弾を企画してまいります。ぜひお楽しみに!