異業種の課題にチームで取り組んで気づいた、本業とは異なる正解のカタチ/泉智子さん(三井住友海上あいおい生命保険)、井上千恵美さん(三井住友海上火災保険)

中期経営計画でイノベーション創出を掲げ、越境学習を活用するMS&ADインシュアランスグループ。
3年目となる今年は、三井住友海上火災保険や三井ダイレクト損保、三井住友海上あいおい生命など、グループから計4社が参加、20代~50代まで会社・職種・年代の多様なメンバーがチームを組み、オンラインで打ち合わせを重ねながら地方企業・団体の課題に向き合いました。今回は「神戸マイクロキャンバスプロジェクト」に取り組んだ三井住友海上あいおい生命の泉さん、三井住友海上火災保険の井上さんに、参加の動機や実際に活動してみての感想、得られた学びについてお話を伺いました。
※「神戸マイクロキャンバスプロジェクト」とは
神戸市職員の志方さんが立ち上げた、ピンバッジ仕様の張りキャンバス「マイクロキャンバス」を展開する神戸発のアートプロジェクトです。
「アートをもっと身近に!」をコンセプトに、気軽に作品を作ったり、それをファッションに取り入れるなど、新しいアートの楽しみ方を多くの人に体験してもらう活動をしています。課題はマイクロキャンバスの製造拡大と、認知度を上げるための方策を考えることでした。
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(※上記写真は、井上千恵美さん)
越境学習への参加動機——“本業の枠を超えて、自分の可能性を見つけたい”
越境学習への参加は、自ら手を挙げる社内公募形式。多忙な毎日の中、自らの意志で参加された動機をぜひお聞かせください。
泉さん:三井住友海上あいおい生命
私の場合は、本業である保険以外の商材で誰かと関わることが無く、「仕事以外で自分に出来ることって何があるのかな?」と軽い気持ちで参加しました。
普段接する保険代理店の方も、保険販売だけでなく地域に根付いたボランティアなど、自分に出来ることで活動している方が多く、私も自分に出来ることは何かな、といつも探していました。
井上さん:三井住友海上火災保険
私は長野県でリテール営業を担当しています。新卒で勤めたこの会社の経験しかなく、損保以外の世界を知りません。そのため、営業担当としての自分は、本当に相手の立場に立った提案やヒアリングができているのか、実はモヤモヤした気持ちを抱えていました。このプログラムでは、違う世界での視点を見つけ、その経験を自分に活かしたいと思い、応募しました。
また、地方在住の当事者として「地方創生」にも興味がありました。地方には都心部とは異なる良い所がたくさんあり、地方創生に関わることで、自分の大好きな地元がさらに盛り上がっていくことに貢献できたら、との思いもありました。
所属も年代もバラバラなメンバーで、自然に生まれた“チームとしての一体感”
グループ各社から参加した4名のチームで活動いただきました。普段全く接点のない、初めましてのメンバーでしたが、いかがでしたか。
泉さん:
日頃やり取りのない三井ダイレクト損保や事務サービスの方と一緒に活動し、同じグループ内の会社でもこんなにも感覚が違うんだ、と驚きました。それぞれキャラクターも全然違うので、最初はベクトル合わせにもちょっと苦労しましたね。そもそも、ググるときの単語も違いました(笑)。
井上さん:
そうですね。チームメンバーの4人は全員会社が違いました。生保と損保は関わることが多いのですが、三井ダイレクトや事務サービスの方は初めて。三井ダイレクトの方は資料作成のスキルが高くてびっくりでした。皆で一つの目標に向かって提案する時も、持ちだしてくるソースも、目のつけどころも違うんですよね。
チームリーダーを決める時、皆さん初対面で遠慮がちだったのですが、泉さんが真っ先に手を挙げてくださったのは有難かったです。さすが!と思いました(笑)
泉さん:
誰かが手を挙げないと始まらないと思ったんです。それに皆さん、反応が良いというか、いい形にしようとの気持ちが強く、活動のベクトルは合っていたと思います。自分はこういう形で貢献したい、という思いが自然にある人たちばかりで、嫌なことは一度もなかったです。
井上さん:
リーダーの泉さんの下、資料の取りまとめや書記、先方とのやりとりなど、皆さん自分の得意なことが分かっているのか、役割分担はすんなりいきました。
迷った時は”ズバリ相手に聞く”——越境先との関係変化のきっかけに

活動の中で一番大変だったと思うことは何でしたか?
泉さん:
オンラインで進めていく中、神戸マイクロキャンバスの志方さんとのベクトルが合っているのか、不安はありました。自分たちの提案の方向性は合っているのか?確認しながら進めていく必要がありました。志方さんがストレートに踏み込んでよい方だと分かったので、不安はズバリ志方さんに聞いちゃいました。そこからちょっと関係性も(良い方向に)変わっていったと思います。
井上さん:
昨年この取組みを体験した先輩社員からも「中間地点で一度目線合わせをするといい」とのアドバイスを頂いていました。皆、同じところで悩んでいたんだなと思いました。
志方さんは裏表のない方なので、我々の問いを素直に受け止め、ご自分の思っていることを話してくださいました。ベクトルはピッタリ合っていたんだな、と安心できたし、なんだかとても楽しかったです。志方さんとの会話は、全てが面白くて(笑)。
越境で自分の”枠”に気づく——“本業を持ちながら、多様な価値創出ができる”
井上さん:
志方さんはザ・アイデアマンという感じで。アイデアマンって、こういう人のことを言うのだと、広辞苑に載せたいくらいです(笑)。偏見ですが、公務員の方は保守的な方が多いイメージだったので、あんなにアグレッシブな方は初めて。本当にすごいです。
泉さん:
とにかく、話をしていると元気をもらえるんですよね。周りからどう思われるか、なんて全く気にしてないように見えました。たまに市役所のお仕事の話をされるので、マイクロキャンバスなど好きなことだけをやっているわけではないのだな、と。本業の軸を持ちながら、そこに留まらずに自分の出来ることをする大切さを学びました。自分にもそういう活動ができるんだなと思えました。会社員にとって夢がありますよね。
井上さん:
越境学習での気づきは、職場でも共有しました。「問題発見力」や「気づきを与える」ことが仕事のタネになるよね」や「異業種の方々と関わることで、相手が言語化できていないニーズを拾い上げていくプロセスは大切だね」とコメントをくださる方もいました。良い職場です(笑)。
泉さん:
私の職場では、この取組みを知っている人が少なく、研修報告をとおして活動の存在を後輩に見せられたのは良かったと思います。
越境学習は“視野を広げ、新たな視点を獲得する機会”
井上さん:
私は参加するまで、「越境先の課題を解決しなきゃ」という責任感・重圧を感じていたのですが、実際はとてもワクワクしながら、楽しんで活動することができました。
越境先がコンサル会社に頼まずになぜ我々とやるのか、と考えてみると「一緒に寄り添いながら、新たな視点を提供する」だけでも正解になるんだ、と気づき気が楽になりました。先方の顕在化しているニーズは、氷山の一角であることも分かりましたね。迷わず、気軽に参加してほしいと思います。
泉さん:
私も最初は本業の延長で「どうしても解決しなければいけない」と思いがちでしたが、そうではない、と途中で気づきました。「自分も、もう一歩ステップアップできるかもしれない」と気負わず参加できる機会がもっとあればいいのにと思います。様々な考え方を知ることで、気づくことも多いです。例えば、私たちはマイクロキャンバスを「福祉」という枠で捉えがちでしたが、議論の中で井上さんからNFT活用のアイデアが出て、マイクロキャンバスってすごい可能性があると気づきました。
井上さん:
ありがとうございます。私もたまたまテレビでNFTを知り、やや見切り発車的に発言したのですが、皆さんそれに乗っかってくださって。個性豊かなメンバーで活動してみると、それぞれポータブルスキルを持っているからこそアイデアが発展するのだと思いました。

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