越境学習で気づいた、本業の価値/古田大志さん(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社)

異なる環境に身を置くことで、自分の仕事の意味を見つめ直す——越境学習を通じて古田さんが得た気づきとは。
あいおいニッセイ同和損害保険で長年営業職としてキャリアを積んできた古田さん。2027年4月に予定されている三井住友海上との合併を前に、「このまま同じ仕事を続けていてよいのだろうか」と、自身のキャリアを見つめ直すようになりました。
「ずっと営業職として働いてきました。仕事自体にはやりがいもありますが、合併という大きな変化を前に、自分はこのままでいいのか、一度立ち止まって考えるようになったんです」
営業一筋のキャリア。新しい世界を見てみたいという思いはありながらも、社外に一歩踏み出すことには少なからず不安もありました。そんなときに出会ったのが、地方企業と関わる越境学習プログラムでした。
「今までの仕事とは全く違う環境に身を置くことで、自分の視野が広がるのではないか。そう思い、参加を決めました」
一方で、古田さんの仕事の原点には、保険を通じて社会課題に向き合う営業の面白さがありました。顧客が抱える課題に耳を傾け、その背景にあるリスクを考えながら、既存の商品をそのまま提案するのではなく、保険の仕組みを組み替えて解決策をつくる。社会課題を保険という観点から解決するという経験を重ねる中で、「自分の仕事は何の役に立っているのか」と改めて考えるようになりました。その問いが、越境学習への挑戦につながっていきました。
1. 異なる業界の人と協働してみたい
古田さんが越境学習に期待していたのは、異なる業界や組織の人たちとの協働でした。
「保険会社にいると、どうしても保険に関連する世界の中でお客様と関わることが多くなります。でも、それ以外の分野で相手がどのように考えているのか、社会課題の解決にどう取り組んでいるのかを知る機会はあまりありません。自分の会社では得られない経験をしてみたいと思いました」
そこで参加したのが、神戸市役所での越境学習です。同じグループ会社のメンバーとチームを組み、古田さんはリーダーとしてプロジェクトに取り組みました。
テーマは、市民と企業が連携して地域の社会課題に取り組む仕組みづくりです。
「神戸市さんとしても地域課題の解決に取り組まれていましたが、関与できる職員の方の数には限りがあります。市民と企業をどうマッチングして実際の活動につなげていくのか、また具体的に何を解決していくのかという点を整理していく必要がありました」
チームでは、関係者の役割や参加の仕組みを整理しながら、市民も企業も一緒に社会課題に取り組めるプロジェクトの形を検討していきました。
「市役所から徒歩数分にあるデザイン・クリエイティブセンター神戸」
デザイン・クリエイティブセンター神戸(愛称:KIITO/キイト)は、神戸・三宮の海側にある旧生糸検査所を改修した、神戸市の「デザイン都市・神戸」の拠点施設です。

2. リーダーとして直面した難しさ
プロジェクトでリーダーを務めた古田さんが最も苦労したのは、チームのゴール設定でした。
「立場が違えば当然ゴールの考え方も違います。そのゴールをすり合わせることに非常に苦労しました」
自治体そして同じグループ会社とはいえ、カルチャーや考え方が異なる参加メンバー。それぞれの立場や背景が異なる中で、一つの方向性を定めることは簡単ではありませんでした。
「メンバーと一緒に一つの目的に向かって進むことの難しさ、意見をまとめていく難しさを強く感じました」
その中で古田さんが意識したのは、丁寧なコミュニケーションでした。
「会議だけでなく、メールやチャットも使いながらこまめにコミュニケーションを取りました。自分から意見を出してフィードバックをもらったり、『おっしゃっていることはこういうことですか』と確認したりしながら、皆さんの考えがずれないように対話を重ねていきました」
3. 自治体の仕事への新しい視点
越境学習を通じて、古田さんが印象に残ったのは自治体職員の姿勢でした。
「公務員の方々が、市民や企業に対してどれだけ強い思いを持って日々仕事をされているのかを知ることができました」
これまで自治体とは、保険会社の営業として接する関係でした。しかし今回は、社会課題の解決という共通の目的のもとで議論する立場です。
「同じ目的に向かって話をすることで、自治体の仕事の見え方が大きく変わりました。非常に有意義な時間でした」
さらに、この経験は古田さん自身の“市民としての視点”にも変化をもたらしました。
「これまでは正直、自分の住んでいる街の取り組みに強い関心を持つことはありませんでした。でも市役所の立場を知ることで、市民が暮らしやすい環境をどうつくるのか、困っていることをどう解決するのかという思いを理解できるようになりました」
今では、自分が住んでいるさいたま市のホームページを見て、どのような取り組みが行われているのか調べるようになったといいます。
4. 越境学習で見えた、本業の価値
今回のプログラムで最も大きな収穫は、「保険営業の本質」を改めて認識できたことでした。
「社会やお客様が抱えるリスクに私たちが気づき、『こういうやり方がありますよ』と提案する。それが保険会社の営業の本質だと思いを新たにしました」
外の世界でさまざまな立場の人と議論を重ねる中で、自分の仕事を客観的に見つめ直すことができたといいます。
「越境学習を通じて、自分の仕事の意味や価値を改めて考えることができました。本業を見直す良い機会になったと思います」
5. 一歩踏み出して起こる変化
最後に、これからプログラムへの参加を検討している人に向けて、古田さんはこう語ります。
「最初は正直迷いました。本当に自分にできるのかなという不安もありました。でも実際にやってみると、失敗や正解というものはなくて、みんなで成果を探っていくプロセスが大事なのだと感じました」
「知らない会社の人と知らない仕事をすることに抵抗を感じるのは当然だと思います。でも一歩踏み出すことで、思いがけない反応や新しい気づきが生まれます。それが越境学習の醍醐味だと思います」





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