共に挑むプロボノ人材:新たな一歩を一緒に踏み出す壁打ち相手/萩原珈琲株式会社代表取締役 萩原英治さん
神戸市灘区で珈琲の焙煎・卸販売を手掛ける、萩原珈琲では、ECサイト強化等の自社の新たなチャレンジに、副業人材をメンバーとして起用するなど、社外の人材を早くから活用してきました。1928年創業の老舗のチャレンジの旗振り役は、4代目代表取締役の萩原英治さん。今回のプロボノ(大人のインターンシップ)受入では、「ずっと取り組んできたが、詰め切れていないと感じていた」という、人事・組織風土改革をテーマにされました。
「他社から見たら上手くいっている」特徴的な人事制度で、採用応募者も何と数百倍との実績を持つ萩原珈琲の伴走役となったのは、複数の事業会社やコンサルティング会社での経験を持つ人事のプロ、セカンドキャリア塾5期生の越川さん(40代女性、東京都在住)でした。
2ヶ月間のプロボノ期間、オンラインでの打ち合わせを重ね、プロボノ人材による社員へのインタビューも実施。「最初は、ふわふわとした悩みから、何かが生まれるのか?との好奇心でプロボノ受入を決めた」と振返る萩原さんに、プロボノに取組んだ感想や、副業人材との違いを伺いました。
周囲からは「成功しているね」と言われても、実感は無かった
萩原珈琲の人事・組織風土改革の取組みが始まったのは8年前。労働生産性の向上を目指して、社員皆で試行錯誤を重ねることで、残業は3年半でゼロにする実績をあげました。そこで歩みを止めずに挑戦を続け、今では売上目標を止めて、自己評価を基にした賞与制度を導入するなど、他に類を見ないユニークな制度を作り上げ、メディアにも取り上げられるほどになりました。 (詳しくはこちら)
しかしながら、英治さんは「成功している実感は無かった」と話します。「社員が自分で考えて動ける組織にしたい」と言う英治さんの頭の中には、理想の組織像が見えているようでした。プロボノ人材の越川さんも「今良いものを、更に良くするという前例のないお話」と語った、「もう一歩先を、いかに形にするのか」を目指す取組みが始まったのです。
プロボノで見えた、次の一手
萩原さん、プロボノ人材越川さんに、社内メンバーを加えた定例会議では、最初の4回ほど、今までの自社の取組みが共有されました。その後、越川さんの提案で、越川さんが社外人材として、社員にインタビューを実施。インタビューの時はあえて席を外していた、という萩原さんは、インタビュー結果を越川さんから聞いて、「社員が楽しそうに仕事をやっていた。前向きに仕事をしているんだなぁ」と、改めて腹落ちすることが出来たそうです。
インタビュー結果を踏まえて、人事に関する2年半の中長期計画を策定し、4月には社内でも共有。既に具体的な取組がスタートしています。「普段、他の企業の管理系や人事系の方との接点を持つことがない」と話された萩原さんは、越川さんとの取組みを通して、「大きな会社も小さな会社も、悩むところは同じと分かり、踏ん切りがついた」と笑いました。今後も、越川さんと半年に1回、進捗を共有しながら、取組んでいくそうです。
プロボノ人材は、「もやもやしていることを、一緒に考える壁打ち相手」
副業人材も活用している萩原珈琲。副業人材を起用した時は、「目的はECサイト強化と明確でした。当然、最初から費用も発生しますし、絶対進めるぞ、との気持ちで始めた。」と振り返る萩原さん。
今回初めてとなった、プロボノ人材との取組みは「社内で揉んでいる感じに近い」と言います。「最初の目的はふわっとしていました。プロボノ人材と対話を重ねる中で、徐々に目指す方向が見えてきたのです。全8回の会議のうち、最後の2~3回で絞り込んで、今後の方向性が決まりました。」
最後に、「プロボノと一緒に取組む業務は、どんな内容が向きますか?」と質問したところ、「詰め切れていない案件や、もやもやしていることの、壁打ち相手になってもらうのが一番いい」との答えが返ってきました。更に、相談はするが、「自分たち自身が考えることを手放さないのも大事」とのアドバイスも。
副業人材・プロボノ人材など、外部人材を目的に応じて上手く使い分け、事業の成長と人材の育成を進めていく萩原珈琲。インタビューでは、「商品開発でもプロボノ人材と一緒にやってみたら面白いかもしれない」とのアイデアも飛び出し、これからどんな組織になり、成長していくのか、聞き手もわくわくしながら話をお聞きしました。