コンフォートゾーンを越えた自分を試したい/マンツーマンコース 松本さん(52歳)

食品メーカー1社勤続30年の松本さん(52歳)は「毎日が充実している」と笑顔を見せられました。長年、営業と人事でキャリアを積まれ、プログラム参加当時は北海道の営業法人代表としての経営全般の仕事に加え、スキーやマラソンなどの趣味を通じた地元人的ネットワーキングも思いっきり楽しむ毎日。

そんな松本さんも、会社員として「60歳」の区切りを意識した時に、「社内で、(営業・人事以外にも)新たに貢献領域を広げられるような機会は今後あるだろうか?」との気持ちがあったと言います。更に「異動はあれどもずっと1社での経験の自分に、社外でも通用する力があるのかを見つけたい」との想いで、プロボノ(大人のインターンシップ)に参加されました。

「インターン先には、出来る限り足を運んで、リアルで関係を持ちたい」との松本さんの熱意が伝わり、プロボノ先となったのは、北海道十勝にある、佐々木畜産株式会社

創業1948年、牧場で牛を育て、食肉への加工・販売を手掛けるだけでなく、牛の食べる飼料も自分たちで作ってしまう、牛のプロフェッショナル。3代目の佐々木章哲社長は、美味しく安心して食べられる国産牛の赤身肉の商品化、ブランド化を検討し始めたタイミングでした。松本さんを事業化の伴走役として、活動がスタートしました。

振り返ってみると「コンフォートゾーンを越えた自分を試したい」という気持ちがあった、と話して下さった松本さんに佐々木社長とのインターンシップの取組みや、活動を通して得たもの、学んだことについてお話を伺いました。

※上記写真:真ん中が松本さん。当社代表の大桃(左)と松本さんの専任コーチ(右)と共に。

 

未経験のマーケティングにチャレンジ

今回のインターンシップでは、「自分がこれまで培ってきた力が、どこまで通用するか?」「足りないものは何か?」を認識し、今後に活かしたかったという松本さん。インターンで取組んだテーマは、ご自身が専門的には経験したことがなかったマーケティングでした。

佐々木社長との初回の面談では、「正直自分がお役に立てるのか」と率直に不安もコメントされながら、社長の事業化に至る問題意識や構想に共感し、「新しいチャレンジとしてお役に立ちたい」と、その場でインターンの開始が決まりました。

松本さんがインターン開始前に敢えて時間を費やしたのが、マーケティングに関するプロのリアルな知見を集めること。ご自身のネットワークを使い、自社内外のマーケティングのプロに「あなたならどう取り組むか?」を意見交換し、複数の視点を集め、インターン先での展開のイメージを膨らませたと言います。

インターンシップ先の佐々木畜産HP、写真は佐々木社長。
(インターンシップ先の佐々木畜産HP、右の写真は佐々木社長。)

 

大人のインターンシップ開始は、現地での牧場訪問から

初回の打合せは、松本さんからの提案で、十勝の佐々木畜産(株)まで足を運びました。実際に牧場や食肉加工工場を自分の目で見て、会社の歴史や事業構想について社長やスタッフと意見交換し、できる限りの現状把握に努めたと言います。

最初にぐっと距離を縮められたことが、その後の活動が進展するポイントだったとも言えそうです。

インターン期間2ヶ月間で、松本さんと佐々木社長は週1回のオンラインミーティングを重ねながら、ブランド価値の言語化、消費者アンケートでの検証を経て、ブランドストーリーを作成。佐々木社長が社外のアートディレクターも巻き込みながら、ストーリーを磨き、ブランドのコンセプトづくりが完了するところまでこぎつけました。

佐々木社長からは「社内にはマーケティング部門は無く、松本さんがいなかったら辿り着かなかったと思う」とのコメントも。今後は、いよいよ仔牛の仕入計画の具体化、プロモーションの準備が始まっていくそうです。「ブランドが立ち上がるまで、節目節目で情報交換しましょう」と約束して、インターンは一旦終了となりました。

(佐々木畜産の牧場の様子)

 

社会で通用するスキル・不足していたスキルを実感

未経験のマーケティングでのインターン活動を振り返って、松本さんは自分のスキルに自信が持てたと言います。それは、面談等を通じて相手の想いや困りごとなどを構造的に言語化することや、顧客に応じた営業のストーリーを描くといった「ポータブルスキル」でした。また、「自分の中にない知識や経験は他人から借りてしまえるフットワークとネットワーク」も未経験領域へのチャレンジだったからこそ、気づけたことと言えるでしょう。

また、マーケティングについては「分かると出来る」の差を痛感した、と言います。このインターン活動後に社内異動があり、現在はマーケティングにも従事する役割に就かれている松本さん。新天地でも、インターン経験を糧にわくわく楽しまれている様子が伝わってきました。

 

楽しかった!

最後にこれから大人のインターンシップを始める方へのメッセージをお聞きしたところ、「とにかく楽しかった」と話してくれました。経験そのものの価値はもちろんのこと、関係する方々とのご縁や、未経験分野へのチャレンジが、今後の社会人生をより豊かなものにしてくれる、と確信されているそうです。お話をお聞きしながら、松本さんと佐々木社長の関係や、新ブランド牛へのわくわく感も伝わってくるような時間でした。