地域の課題に挑む:マネージャー自ら飛び込んだ越境学習での発見

中期経営計画における目指す姿として「未来にわたって、世界のリスク・課題の解決でリーダーシップを発揮するイノベーション企業」を掲げ、「社員の自律的なキャリア形成の実現」を推進する一環で越境学習を導入されている三井住友海上火災保険(株)。
多忙なマネージャー業務に従事しながら、地方企業とのインターンシップに自ら手を挙げて参加された、遠藤学さんと菅原理宇さんに参加の動機や、実際にやってみた感想をお伺いしました。

(※写真は左から菅原さん、遠藤さん)

参加動機は「部下にチャレンジを推奨するなら、自らも挑戦する」

遠藤さん(金融法人第一部・営業第一課所属):
2000年に入社し、一貫して保険会社でのキャリアを積んできました。
会社が社外チャレンジを推奨している中、自らの経験が外部に通用するのか?不安もありましたが、日頃部下にもチャレンジを勧めているので、私自身も挑戦してみることにしました。

菅原さん(自動車保険部・テレマティクスチーム;参加当時):
マネージャーの仕事をやっている以上、周囲のメンバーなどに何かいい影響を与えることも仕事の一つと思うので、「自らチャレンジする」との考えは一緒ですね。
今年50歳になり、役職定年やセカンドキャリアのことが気になる年齢になりましたが、新しい挑戦を積極的に続けていきたいと考えています。
入社以来、保険金支払部門や企業向け営業、保険商品の収支管理など、様々な部署を経験してきました。また、今の仕事は商品サービスの開発・事業運営のため、社外のメーカーやITベンダー、スタートアップの方々とも日々連携しながら業務を行っていますが、今回は日常業務の枠を超えて社外の方と協業してみたいと考え参加しました。

越境で取組んだ、地方の課題。見えてきたことは?

遠藤さんが取り組まれたのは埼玉県皆野町の関係人口の創出(詳しくはこちら)、菅原さんは愛知県豊田市の安藤トマト農園ファン作り(詳しくはこちら)、という普段の仕事とは全く異なるテーマでした。

菅原さん:
保険や補償前後のソリューションビジネスと絡めた地方創生の取組みは当社でもやっており、地方創生という言葉はよく耳にしていましたが、実際に携わったことはありませんでした。越境先の安藤さんが「稲武地域に人を呼び込みたい」と真剣に考えられているのがひしひしと伝わってきて、非常に感銘を受けました。

遠藤さん:
越境先のオフィスプラス(株)の出浦社長、嶋村さんに真剣に向き合っていただいたことが印象に残っています。
保険会社の我々が地域の課題に向き合って、どれだけアウトプット出来るのだろうと手探りで不安もありましたが、思った以上に好意的に受け止めていただき、やってみて良かったなぁと。

越境終了後、皆野町で成果をプレゼン 中央が遠藤さん

越境しながら自然に発揮されたのが”ポータブルスキル”

越境学習は2ヶ月間。1つのテーマにMS&ADインシュアランスグループ傘下の会社から参加したメンバー3名がグループを組み、オンラインで打合せを重ねながら取組まれました。

遠藤さん:
一番悩んだのは、越境先の期待と、我々の成果物とのギャップをいかになくすか、でした。限られた時間での取組みだったので、これを最初にグループでも話して、越境先とも共有したことが良かったですね。
ずっと営業で、潰しがきかない仕事だろうと思っていたのですが、今回の取組みの中で実践した「現状ヒアリング・分析、課題設定、仮説検証、提案」は後から考えると普段の仕事に近く、ソリューション提案と言われることが活きていたのかもしれません。

菅原さん:
一緒に取組んだグループメンバーは、勤務地もばらばら、20代~50代と年齢層も多様、あいおいニッセイ同和さんなどグループ企業のメンバーもいました。役職等による指揮・命令関係の無い完全にフラットな関係の中で協業することは貴重な経験でした。取組んでみると「安藤トマト農園にいかに人を呼び込むか」のアイデアをジャストアイディアで出すことは出来ますが、本当の実態をよく分かっていない中で、机上の空論になる懸念がありました。チーム内でも、越境先とも、一方的な押し付けにならないように擦り合わせて確認していく、というプロセスは結構丁寧にやったかなと思いますね。営業に所属していた時には「保険を売るのではなく、お客さまのビジネスに寄り添い、お役立ちをすることでWin-Winの関係を築く」ことを強く意識していましたので、そのスタンスは越境先とのコミュニケーションでも活きたかもしれません。

マネージャー業と越境学習の両立の背景には、「やって当たり前」の職場があった

お二人は越境学習の2ヶ月間、月10 時間ほど掛けて、越境先の課題に取組まれたそうですね。

遠藤さん:
正直に言うと、私は異動して2年目ですが、初年度に取組んでいたら結構しんどかったかもしれません。
1年やって業務の流れが一定理解でき、マネージャーとしても4年経っている今だからというのはあります。また、今年度から定時退社の取組みが始まり、挑戦しやすい環境になってきていますね。
職場でも難関資格にチャレンジしているメンバーや、MBA取得に向け大学に通っているメンバーもいて、私が越境学習に取組むことも「当たり前だよね」と自然に受け止められていました。上司も「どんどんやったら」と後押ししてくれ、やりやすいですね。

菅原さん:
私も異動して2年経っていたので、自分のコントロールが効く範囲でやれていると思います。
ただ、自己研鑽をしないとダメだとの危機感もあり、悩んだらまずは研修に申し込んでしまって、無理やりにでも時間を作って何とかする。
会社全体が学ぶことを推奨しているので、うまくその環境に乗っかって、チャレンジしたいですね。

遠藤さん:
ウェブで完結するプログラムなので、リアルよりはハードルが下がりますね。
一方で越境先を知るにはオンラインでは限界があったので、何回か秩父や皆野町を訪問しました。
越境先のコワーキング施設で普段の仕事やウェブ会議をしてみましたが、不具合はなかったですね。こういう働き方もありだなと思えましたし、地方創生にこういう形で関われたらすごくやりがいになると思いましたね。

越境先の秩父コワーキングスペースの一角

越境学習の取組みで、今の仕事に活きることとは?

遠藤さん:
どんなに忙しくても、ポチっとリセットボタンを押して、切り替える力がつきましたね。
さっきまで担当している金融機関さんのことを考えていたけれど、越境先とのオンライン会議に入る直前に切り替えて、皆野町の人口が減ってどうするってことをぐっと考える。1つ1つは細かいことですが、納期や品質を担保しながら、同時にいろんなことを管理して進めていく経験は学びになりましたね。
会社としても定時退社を推奨したり、副業を解禁しており、限られた時間で成果を出すことが求められている一方で、会社以外の時間をどう使うか。瞬間瞬間で切り替えてマルチタスクに取組むことで、切替え力がつき、結果として時間を大切にすることに繋がっていると思います。

菅原さん:
我々保険会社の仕事は、お客さまの課題解決が中心です。
お客さまの課題にどう対応し、何が最適かを考え、その解決に向けて取り組む。越境学習での地方創生の取組みも同じで、お客さまと協力して進めていくスキル、つまり共創力が養われると考えています。
このプログラム終了後、別の機会で新たなビジネスモデルを考えることがあったのですが、このプログラムを経験したことで、よりスムーズに進めることが出来たと実感しています。

お二人は今後どんなことを企てられていますか?

遠藤さん:
今のポジションにしがみつくのは良くないと思っていて、この先5年10年くらいは、ちょっとずつ何かにチャレンジして、失敗もしながら、1個ずつ出来ることが増えていったらいいかな、と思っています。
中小企業診断士の資格を取ったので、その資格を活かして、地方創生や中小企業の支援にも関わってみたいと思っています。もちろん機会があれば、また越境学習もやってみたいですね。

菅原さん:
ちょうど異動になったので、新しい職場でまずはしっかりキャッチアップしたいと思いますが、学びを通して色んな人と交流することは、またチャレンジしたいですね。
今回の取組みのように、仕事・家庭に加えて、第三の居場所を持つことは、仕事にも間違いなくいい影響があると実感しています。

越境学習に手を挙げるか悩んでいる人に、メッセージをお願いします

遠藤さん:
会社としても学びを推奨し、働き方を変えようとしている中で、時間の使い方を変えていく必要があると思います。
強制的に複数の居場所を持つことが大事だと思うし、このプログラムはそのきっかけになりますね。

菅原さん:
本当に日々忙しいと思うのですが、思い切って先にスケジュールを入れてしまって、日常業務から離れてみる経験をして欲しいですね。
また、地方創生を真剣に考える経験は、本当に貴重だと実感したので、興味のある人にお勧めします。

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