CAN(できること)でもなく、MUST(しなければならない)でもない、WILL(したいこと)を見出して転職に成功/7期生 岩村太郎さん

大手百貨店から小売業界の企業に転職し、社会人生活30年の節目の年になった今、人生100年時代にこの先どのようにキャリアを積み重ねていくかを考えた時に、このまま今の会社で定年まで働くことに何かしら違和感を覚えていた。そんな時、ネットを検索していて見つけた「セカンドキャリア塾」が目にとまり、今までのキャリアを含め自分自身を一度棚卸してみたいと思い参加。

するとそこでは、塾での異業種の人たちとの交流やインターンシップ先での取り組みを通じて、会社の中にいたのでは知ることのできない世界を知ることになり、一歩踏み出すことの大切さを実感することになる。

(※上記写真はセカンドキャリア塾でのワークショップ風景、右から二番目が岩村さん)

 

2度の転職を経て、仕事においては「やりがい」こそが大切だと気づく

私は今まで、最初の会社に入ったときも、転職したときも、また異動したときにもそうだったのですが、行動を起こしてきたそれぞれの時の基準は「自分にできることは何か」だったのだと思います。セカンドキャリア塾の中で聞いた「Will・Can・Must」のCanの部分が多かった。

でも、最初に勤めた百貨店はこの30年間で業界全体の売り上げが3分の2程度にまで落ち込んでしまい、活躍できる場が段々狭まってくる訳です。変化に対応しながらいろいろやって来てはいるものの、「できること」ばかり追い求めていると、自分にできることも狭まっていました。そんな中で感覚的ですが、できることよりも、本当に自分がやりたいことは何なんだろうと、漠然と思っていました。だんだん年齢を重ねるにつれて、私にとっての仕事の位置づけが、お金とかそういうものではなく「やりがい」こそがすごく大切なことなんだなと、おぼろげながらですが実感するようになっていったのです。「やりがい」を大切にすることが巡り巡っていい人生につながるという思いですね。

 

“ゼネラリストで専門性がない”と思っていた自分が描いた、次のキャリアのミッションとビジョンが最大の収穫

プログラムに参加した最初は、何かの成果物を求めてというよりは、まず一歩を踏み出そう、という意識でした。自分が新たに何か行動を起こすということが大事だと思ったのです。でも、最終的な成果物として、様々な予習課題やワークショップを通じて自分を棚卸し、自分のミッションとビジョン、やりたいことをはっきりと描き出すことができたことがとてもよかったと思います。

プログラムで最終的に描き出した私のミッションは、「今までの経験とスキルと情熱を持って社会的課題を解決する」ということ。そしてビジョンは「ライフタイム・ルーキー」とネーミングをしました。

今までゼネラリストとして歩んできて、プロフェッショナルとしての専門性を持っていないことが自分の弱みだと認識していたのですが、逆に言えば、だからこそ年齢に関係なく新しいことに何でもチャレンジしているということが自分の強みだということを、「ライフタイム・ルーキー」と名付けて、人生でいつもルーキーなんだと、このプログラムを通じて認識できたことが最大の成果物でした。

インターンシップ先である北海道に訪問時に撮影

地方の信用金庫の課題解決のアドバイザーとしてインターンシップへ

インターンシップ先は北海道の帯広信用金庫さんでした。信用金庫さんは地元の産業育成に力を入れており、十勝という食料自給率1000倍を超える農産物の強さを活かし、東京や海外に市場と販路を開拓したり、商品開発を支援したりしていく部署の方に、マーケティングの視点からアドバイスをするという業務内容でした。この部署は立ち上がってからしばらく立つのですが、地域の信用金庫という立場上、あらゆる仕事が舞い込み、かなりの案件数になっていたので、優先順位をつけて整理していこうという課題に取り組みました。やはり地方には地方ならではの課題があるのだなあと実感しました。

そこで各業務の評価付けをしようとしたところ、評価基準がなかったので定量的に判断できる基準を作りましょうとか、そんなアドバイスをしていました。これは百貨店時代によくやっていたことで、売上分析や顧客分類の考え方などが、お役に立てたのではないかと考えています。

やっていて工夫が必要だったのは、ミーティング時間の確保でした。ミーティングはすべてオンラインでやっていたのですが、私も現在の勤務がありますし、信用金庫さんも同じ時間帯が勤務時間となっているので、ミーティングのある日は私の方で半日の有給休暇を取得して対応しました。

インターンシップが終了してから、実際に帯広に足を運び、信用金庫の担当の方に会ってきました。信用金庫さんが支援している農家さんに連れて行っていただき、この事業をやっているところを実際に見せていただき、信用金庫の方々が携わる地方の活性化という社会的な課題とそれを解決することへのやりがいを実感することができました。この時の体験で、プログラムを通じて得られたことに間違いはないと確信することとなりました。

インターンシップ先の帯広信用金庫

 

プログラムを通じて手に入れた自己認識とインターンシップ経験をもとに、転職に成功

セカンドキャリア塾を通じて、自分がそれまで軸として持っていたCanやMustではなく、本当に自分がやりたいことであるWillをはっきりと言語化することが出来ました。

この「Will」を基準に転職活動をしていたのですが、つい最近、新しい転職先が決まりました。私は最初に百貨店に入社し、その後も小売業界でキャリアを積んできましたが、今回決まった会社は全く異業種の素材メーカーです。今までにない環境負荷の少ない新しい素材を世の中に広めることで、地球環境に貢献していこうとしているスタートアップ企業で、これはまさに、自分にできること(Can)ではなく、「情熱をもって社会的課題を解決する」ことに貢献したいという、自分のやりたいこと(Will)に合致していると考えています。50代の転職はなかなか厳しいというのが一般的ですが、やっぱり「私はこれができるので入社したいのです」というよりも、「私はこれをやりたいから入社したいのです」では、相手に伝わる熱意も違うと思います。この、Willを軸に自分のビジョンに沿って転職活動をすることができた、またそれに気づけたことが、セカンドキャリア塾に参加した最大の収穫だったと思います。

信金さんが支援する農家さんを訪問。夢中になりすぎて記念撮影を忘れるほど

 

50代だからってあきらめる必要なんてない。可能性はまだまだあり、行動することが大事だと思う

セカンドキャリア塾でのもう一つの収穫は、仲間と言える、異業種の方々、と一緒に学べたことです。やっぱり社内の人たちはどうしても価値観が似通ってきます、社外の人たちで、年齢も40代後半~50代と幅のある人たちとの交流は、いろんな気づきをいただけたし、こちらからも気づきを与えることができたのではないかと思い、お互いにいい影響を与え合うことができたと感じています。

振り返ると、もやもやしたり迷ったりしている時に、まず一歩踏み出して行動を起こしたということがよかったのだと思います。人生100年時代の中で50歳というのは本当に折り返しであって、まだまだこれからの可能性はあると思うし、あきらめる必要は全くないと思います。今は50代の転職は少し難しいと言われていますが、これからは当たり前になっていくと思いますし、まずは新たな一歩を踏み出してよかったと思っています。

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