地方の「夢」を「事業」に!全く知らない世界に飛び込んだ協働記録/16期生 畑義明さん (アサヒグループ食品株式会社)

アサヒ飲料で長く営業・マーケティングに携わってきた畑義明さん。
50歳を迎え、「これまでの経験を、会社の外でも活かしてみたい」という思いから、プログラムに手を挙げました。
インターンシップ先は、新潟県燕市。金属加工の集積地として知られる燕で、貴金属めっきを用いた文化財修復に挑戦している、スワオメッキ有限会社でした。 畑さんのインターン先選びの決め手は「全く知らない世界に頭から飛び込む」。まさに素人の立場から、2ヶ月という限られた期間の中で、スワオメッキ鈴木社長の“想い”をどう捉え、どんな変化を生んだのか。その取組みをご紹介します。
1. 「神社仏閣を守りたい」
― 社長の中にあった“まだ言葉にならない夢”
スワオメッキは1987年創業。「化学の力と匠の技術で、金属に“化匠”を施す」という理念のもと、ネジ1本から畳一帖分の大型製品まで、多様なめっきを手がけています。
近年、同社には神社仏閣の金具修復に関する相談が増えていました。背景にあるのは、各地で進む仏壇仏具職人の高齢化と後継者不足。インターネット検索を通じて、スワオメッキの技術に辿り着く寺社が増えていたのです。
鈴木康仁社長の頭の中には、こんな構想がありました。
「燕市には、プレス、研磨、メッキ…本当にすごい技術が揃っている。
それを束ねて、神社仏閣の修復を“事業”としてやれないか」
しかし想いはあるものの、走り回っている毎日の中で、どう進めればいいのか、どう伝えていけばいいのか、が見えない。そんな状態で迎えたのが、畑さんとのインターンシップでした。
2. 「点と点が、線になった」
― 異分野の視点が、構想を“地図”に変えた2ヶ月
インターンは、主にオンラインで会議を重ねながら進みました。畑さんが最初にやったことは、徹底的に話を聞くこと。
鈴木社長が何を大事にしているのか。なぜ神社仏閣なのか。燕市をどう巻き込みたいのか。
その対話をもとに、畑さんは
- 現状整理シート
- 仮説商流図
- 5分で説明できるピッチ資料
といった形で、社長の頭の中にあった構想を言語化していきます。
鈴木社長は、2ヶ月を振り返ってこう語ります。
「最初は、正直まだ考えがまとまってなかった。
でも進めていくうちに、ちゃんと“形”になってきた。
点と点が、線になった感じですね」
さらに畑さんは、神社仏閣業界についても自ら調査。
神社庁の仕組みや地域構造など、社内にいなかった“外部の目”だからこその情報を提供しました。 「業界の人同士だと出てこない視点をもらえた。それがすごくありがたかった」(鈴木社長コメント)
3. 「錦の御旗」をつくる
― 異分野の― “想い”が、社内外を動かす武器になった瞬間
畑さんの仕事は、単なる資料作りではありませんでした。鈴木社長は畑さんが作成した資料を持って、燕市内の企業を訪ね、事業構想を説明。すると、
「それ、いいね」
「伝統文化を守るって、すごく分かりやすい」
と、即座に共感が返ってきたのです。
地域コーディネーターのつばめいと・山後春信氏は、この成果をこう表現します。
「これはもう、“錦の御旗”ですね」
これまで「下請けの仕事」として語られがちだっためっきの仕事が、「日本の伝統文化を守る仕事」として語り直されたのです。
4. 「この仕事ができて、幸せだ」の御旗」をつくる
― 社員の言葉が変わった日
象徴的だったのが、新潟県にある弥彦神社の案件です。修復・納品後、鈴木社長は社員を連れて現地を訪れました。自分たちの手で修復した金具が、神社に納まっている姿を前に、ある社員がぽつりと言いました。
「こういう仕事ができて、幸せだ」
鈴木社長は、この言葉が忘れられないと言います。
「自分たちの仕事が、
何につながっているのかが、初めて実感できた瞬間だった」 事業の「大義」が言語化されることで、
社員の仕事観そのものに変化が生まれてきたのです。

5. 挑戦は、ここからが本番
鈴木社長が、畑さんとのインターンシップを決めたのは、実は「インスピレーション」でした。インターン中、畑さんが燕を訪れ、それが「確信に変わった」と言います。
燕で、一緒に車で移動しながら話をしていると、話題は仕事を超え、
「人間とは何か」「価値観とは何か」という話にまで及びました。
畑さん自身もインターンをこう振返ります。
「何ができるか悩みながらのスタートだった。
でも“すごい”と言ってもらえて、自信になった。
鈴木社長の行動力、どんどん進んでいくスピードがとても刺激になった。 大義に共感できる仕事は、わくわくしかない」
2ヶ月のインターンシップは、一つの節目を迎えました。
今後も、協働は続き、修復事例のデータ蓄積・ストーリー化、営業ツールとしてのブラッシュアップといった次のフェーズに進んでいく予定です。
畑さんはインターンシップを通して、「普段の恵まれた環境に甘えることなく、本業の仕事も頑張っていきたいと思えた。」と話されました。
その背景には、「信念を持ち、ただ邁進する。」
今回の経験で、そんなシンプルなことの大切さと素晴らしさを改めて知ったことがあるそうです。 全くの異分野に飛び込んだからこそ、体当たりで取り組む中で見えた「これまでの経験スキルを越えた自分自身の価値」。畑さんと鈴木社長のわくわくの連鎖が、周りに波及していく未来が楽しみです。





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