コロナ禍でこの先の人生を見つめなおし、会社の看板に頼らない生き方を模索して出会った新たな繋がりと展望/7期生 橋本譲さん(仮名)

新卒で入社した大手不動産会社で、長年BtoBの法人営業やまちづくりの業務に携わってきた橋本さん(仮名)。なかでも、得意先の経営課題を解決するソリューション営業の仕事に大きなやりがいを感じていました。50代半ばでコロナ禍に直面し、ふと「60歳になった時の自分はどうなっているのだろう」と考えるようになったとのこと。ネットで検索し、たまたま目に留まったのが「セカンドキャリア塾」だったそうです。

対象年代がほぼ自分と同じ、自身の興味や関心に見合ったインターンシップ先をマッチングしてくれる仕組みにも魅力を感じて参加くださいました。インターンシップ終了後も、先方と引き続き良好な関係を継続中という橋本さんに、改めてお話を伺いました。

(※上記写真は十勝出身・在住の皆さんとの集まり)

きっかけは、コロナ禍で感じた「これから先の自分」について

現在の会社で主に営業の最前線を走ってきた私は、コロナ禍をきっかけに、60歳以降の自分の在り方を真剣に考えるようになりました。安定していて、好きなことができる会社でそのまま働き続ける選択肢も大いにありましたが、このまま流されるのではなく、もっと能動的に、計画的に動いてみたいという気持ちが芽生えました。

ネット検索して見つけたセカンドキャリア塾は、他社のプログラムよりもリーズナブル(笑)、かつ自分と年代の近い人たちと交流できそうなことにも心惹かれて、思いきって申し込んでみました。
実際に参加してみると、単なる座学に留まらず、同期の皆さんとのワークを通して、他者から見える自分の強みや可能性を知ることもできました。
そこから見えてきた自分の興味や関心事に沿った(インターンシップ先の)マッチングをしてもらえたのも良かったですね。

マッチング先は帯広と東京を結ぶ「新しい消費」と「関係人口」の創出を目指す「まちづくり」の会社

座学のプログラムの中で、自身の長年の会社生活を振り返り、何をやっているときが一番楽しかったかを考える機会がありました。
相手サイドに立ってソリューションを提案することや、再開発事業においては完成させて終わるのではなく、その後のコミュニティづくりにもやりがいを感じている自分に気づきます。ハード面だけでなく、ソフト面でのまちづくりを支えたいという思いが強くあったからです。

そんな私に繋いで頂いたのは、十勝シティデザイン株式会社を経営する柏尾哲哉さんでした。東京で活躍されている現役の弁護士さんでありながら、ご出身の帯広(十勝)の活性化に尽力されている方です。

具体的には、十勝の魅力をPRする短編映画を製作したり、コミュニティ型ホテル「HOTEL NUPKA」を立ち上げたり、十勝産の大麦麦芽を使用したビールを開発したり、地域と人をつなぐプロジェクトを次々に展開。大都市と地域を結ぶ「新しい消費」や「関係人口」といった概念を打ち出し、次々とイベントを開催されています。

私自身も十勝を3回ほど訪問し、東京開催も含めたイベントのセッティングや事務局運営などを担当させて頂きました。大体夜間や週末を利用しての参加だったので、日常業務にも支障はありませんでした。

最大の学びは柏尾さんの「実行力」と「人脈」を目の当たりにできたこと

柏尾さんが次々と企画されるイベントの実行力に加え、その人脈の豊富さにはとにかく圧倒されました。企業でも個人でも、多種多様な方との繋がりがあり、お陰様で私もたくさんの方々とのご縁を頂きました。それは今なお、私自身の大きな財産になっています。

通常は会社の「看板」で仕事をしている人が多いと思いますが、これほど壮大なスケールの「まちづくり」を個人でやっている人がいることに、本当に驚きました。柏尾さんの手がけるプロジェクトは、常にインタラクション(相互作用、交流、ふれあい)であり、自分自身も楽しめて、繋がりも楽しむ大切さも教えてくれます。
この経験を通して、この先自分はプロボノとして何ができるのか?もっといろいろやってみたいという思いを強くしました。柏尾さんや十勝との繋がりは今も継続させてもらっています。

一方、私が居住する地域でも、まちづくり観光協会の一員として新たな活動を開始しました。なかなか法人会員が増えないことに課題を感じているようですが、ここでは私の法人営業の経験が役立てると思っています。

セカンドキャリア塾は「やりたいこと」の輪郭が可視化できる場所

セカンドキャリア塾に来られる方の多くは、自分のキャリアを見つめなおそうと自腹を切って参加しています。座学としてのワークでは、そうした仲間たちから自分では意識したことのなかった多くの気づきをもらいました。なるほど、そういう考え方もあるんだ、という発見も多々。

こうしたフィードバックを重ねるうちに、まだ輪郭が曖昧だった「自分のやりたいこと」が可視化されたように思います。今回のインターンシップ体験も加わったことで、60歳以降も今の会社に残ることは、単なる選択肢の一つになりました。
これまで、シニア転職、副業サイト、プロボノ、ボランティア、いろいろと考えてきましたが、しばらくはプロボノとして活動を続けていきます。そして、会社の看板ではなく、個人として何ができるかという視点で引き続きいろいろなことに挑戦し、更なる一歩を踏み出していきたいと思います。