異分野でのインターンシップで自社の価値に改めて気づくことが出来た/向山昌吾さん(三井住友海上火災保険株式会社・40代男性)

向山さんは、三井住友海上火災保険株式会社に入社以来、営業畑一筋。金沢・栃木での勤務を経て、現在は仙台にて仕事をされています。1社での営業経験で自分の強みが分からなかったと言う向山さん。“強みやポータブルスキルを見つけたい”との想いのもと、「地方創生インターンシップ研修」に参加されました。 

インターンシップ先となった北海道の有限会社中田食品は、1958年創業、北海道十勝産大豆をふんだんに使用した、地元の人に愛される豆腐・油揚げなどを製造、道内のスーパー等で販売しています。本州での販路も開拓・拡大していきたいと考えるものの、コロナ禍で移動が限られ、手詰まり感を持っていました。 

向山さんは経験のない食品業界に始めは戸惑いながらも、本業で培った営業経験を活かしてインターンシップに取り組み、仙台圏の新規販路に採用される道筋をつけました。インターンシップ後、アプローチしていたスーパーでの採用が決定。「外の世界を知ることで今まで見えなかった多くのことが発見できた」―――そう語ってくださった向山さんに、参加の経緯や感想を伺いました。

 

「保険の営業は潰しがきかない」と周りから言われ、危機感を持った 

 

――インターンシップへの参加の動機は何ですか? 

40歳を過ぎてから、自分のキャリアの終わりまで、あと10年ちょっとだなと頭をよぎるようになり、「このままじゃまずい」と感じていました。 

新卒で今の会社に入社し、私は今まで代理店営業しか経験したことがありません。「保険の営業はつぶしがきかない」と周りから言われていましたし、私自身も、今の部署で5年目となり、業務を「こなしている」んじゃないか、と危機感がありました。 

社外でのインターンシップ研修があると聞いて、自社以外の世界を肌で知り、自分の強みやポータブルスキルが見つかるのではないかと思い、参加することを決めました。 

 

――本業とは全く異なる業界へのインターンシップ参加で不安はありませんでしたか? 

以前より、定年後はパン屋やカレー屋など、食に関わりたいという想いがありましたので、数あるインターンシップ先の中から、豆腐の製造・販売を手掛ける中田食品に応募しました。とはいえ、食品業界での営業は未知の世界。動き方も分からないし、販売先のイメージも湧かず、不安はありました。しかし、インターン先の社長さんが「まずは仙台でどんな豆腐が売れているのか、その情報だけでも参考になる」と言ってくれて、安心して取り組めましたね。 

最初のミーティングで、社長の事業に対する想いや責任に触れたこともあり、インターンだけれどしっかりやりたい、という気持ちになりました。毎週の社長との打合せまでにこれをやろう、とメリハリが生まれ、2ヶ月という短い期間でしたが、スピード感を持って取り組めたと思います。 

(インターンシップ先の中田食品の商品 甘味の強い十勝産大豆を贅沢に使用した「十勝逸品 もめん」)

 

――インターシップではどのような業務に取り組まれましたか? 

「中田食品の豆腐の、新たな販路の開拓」がテーマでした。 

最初は仙台にあるスーパーに足を運んで、そこで売られている豆腐を調べ、新規販売先の調査や候補選定をすることから始めました。調査を進める中で、販売先候補の一つとなったのがAスーパー(仮名)でした。たまたま、私が今いる部署の隣の部署のメンバーが、そのスーパーと繋がりのある代理店を担当していましたので、窓口の方の連絡先を教えてもらい、実際に中田食品のセールスとして、中田食品の名刺を持って、Aスーパーに商談を申し入れました。 

その他にも、幾つかのスーパーに営業のメールをしたり、電話してサンプルを送ったり、商社と話をして中田食品と繋いだりもしました。もともと本業でも飛び込み商談の経験がありましたので、その経験を異業種でも活かせたと思います。 

また、「まずはサンプルを送って試食してもらう」アプローチは食品業界ならではで、新鮮でしたね。2ヶ月のインターンシップ期間中は、初回の商談を終えたところで終了となりましたので、その後も結果が気になって、インターンシップ先の社長とやり取りを続けていました。インターン後、数ヶ月が経って中田食品の豆腐がAスーパーで採用された、との話を聞き、とても嬉しかったです。 

(向山さんが新規販路開拓した商品「枝豆ころころ」)

 

外の世界に触れ、自社の価値に改めて気づくことが出来た 

 

――日常業務との両立で苦労したことはありますか? 

基本的にオンラインでしたので、大変なことはありませんでした。使った時間は、調査や営業活動が週2〜3時間、打合せが週1時間くらい。電話やメールなど、隙間時間にやれることも多く、本業に支障をきたすこともありませんでした。上司を含め、職場も自業務をコントロールしながらやれるだろう、と信頼して見守ってくれたのも有難かったですね。 

 

――インターンシップに参加してみて発見したことはありますか? 

異文化に触れたことで、自社の恵まれた環境に気づくことが出来ました。今回のインターンシップは、「豆腐」という知見のない商材。新規販路の開拓と言っても、最初はつてがなく、難しいことが分かりました。自社のネットワークは、一発で直接繋がらなくても、誰かを介せば、かなりの確率で繋がりたいところと繋がれる。これは自社の資産だと身に染みました。 

Aスーパーに辿り着くために、普段あまり接点の無かった、隣の部署のメンバーに相談したのですが、快く色々と教えてくれました。自部署で今回のインターンシップを報告した時にも「すげー面白いじゃん!」と反応があり嬉しかったですね。改めて当社人材の心の広さや自由な風土の良さを実感する機会にもなりました。 

 

ポータブルスキルが分かり、自信に 

 

――インターンシップを終えられた今の感想を教えてください。 

今回のインターンシップを経て、自分自身の「社会に貢献したい」との入社動機を久々に思い出しました。インターンシップ先の企業と副業として継続する選択肢もあると思いますが、私は自業務を真剣にやり切りたい、との気持ちが強くなりました。思いっきり今の仕事が出来る期間も、長いようで実は短いと思ったのです。 

そして、インターンシップを通じ、自分のポータブルスキルは「使命感」「仕事への熱量」「関係構築力」「行動力」だと言語化出来ました。そして、このスキルはどこにいっても活かせることも分かり、自信になりましたね。 

 

―――これからインターンシップにチャレンジする人に伝えたいことはありますか? 

ぜひ30歳前後の若い方にも社外でのインターンシップに挑戦してほしいですね。自社しか知らないと、どうしても視野が狭くなる。バイアスを取り除くためにも、外の世界に飛び込むことがいい経験になると思います。自社の恵まれた環境やネットワーク等、社内でいるだけではなかなか気づけない自社の魅力も発見することが出来ます。 

特に、同じ部署に3年以上いる方に是非おすすめしたいですね。私も今の部署で5年目となり、「今しか出来ない」と思いチャレンジしました。業務に慣れたタイミングだからこそ、社外インターンに挑戦することで、次の部署に異動した時にも、その経験を活かせるはずです。 

また、副業に興味がある方も、最初から副業に飛び込むにはハードルが高い中で、まずは練習としてインターンシップに取り組んでみることもすごく良いのではと思います。 


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